ノブユキ番外編

かつては1週間の個人的収穫を振り返るブログでした。現在は不定期で更新中。

夜の台場にかかる虹

フジテレビをはじめとしたFNS(フジネットワーク)で開催される年に1度の長い祭り『FNS27時間テレビ』。またの名を『FNSの日』と言う。1987年に第1回が放送され、タモリ明石家さんまビートたけし逸見政孝中居正広ナインティナインなどのスターたちが総合司会を務めてきた。日本テレビのチャリティ特番『24時間テレビ』が感動路線なのに対し、こちらはフジテレビ特有のバラエティ路線で夏休み突入シーズンを盛り上げてきた。

 

しかし、2013年以降は岐路に立たされる。同年で過去最低視聴率を記録し、翌14年のSMAP27時間では息を吹き返すも、その翌年の15年は低調。16年で再び過去最低を更新した。さらに17年と18年はバラエティ路線から日本の歴史をテーマにした教養路線に舵を切り、27時間ほぼ事前収録の形式が取られた。この大幅な路線変更で自分はえらく失望し、17年は合計2時間程度、18年は合計5秒しか見なくなってしまった。

 

そんな中、日本のスポーツをテーマとした19年は教養路線を残しつつ、バラエティ路線と生放送形式を一部で復活させた。自分は喜んで13時間も視聴し来年以降の27時間に期待を寄せた。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大により20年から3年連続の開催中止を余儀なくされてしまった。その間、フジテレビは21年・22年に『FNSラフ&ミュージック』を土日の夜に放送。TBSでは20年から毎年秋に『お笑いの日』、日テレでは21年の『24時間テレビ』の深夜枠で『有吉の壁』が放送され、27時間テレビが無い代わりにこれらの番組で楽しんできた。ただ、それでもやっぱり見たいのはバラエティ一色の27時間…どうしても諦めきれない思いが募る3年間だった。

 

そして23年夏、待望の27時間テレビが復活した。千鳥、かまいたち、ダイアンが総合司会を務め、『千鳥の鬼レンチャン』をベースにサビだけカラオケや400m走サバイバル、『逃走中』や『FNS歌謡祭』の公式パロディ、さらには『今夜はナゾトレ』、『有吉ダマせたら10万円』、『ドッキリGP』なども参加して久々にバラエティ路線かつ生放送形式の夏祭りが戻ってきた。鬼レンチャンのカラオケでブレイクしたほいけんたが「カラダぐぅ」に続く新たな歌い方「くるっくぅ」で爆笑をかっさらってTwitterのトレンドを席巻したのも夢のような光景である。

 

久々にリアルタイムで合計20時間以上見たFNSの日もいよいよ佳境に。グランドフィナーレ恒例の提供読みはフジテレビの新人アナウンサーだけでなく開催休止期間に入社したアナウンサーも参加させる粋な計らい。定番の提供BGM『虹  Arc en Ciel』がかかった瞬間、心の琴線に触れた。今年の27時間が終わってしまう寂しさ、コロナ禍による3年間、入社した年に27時間が無かったアナウンサー、『虹』を作曲した服部克久の逝去、さらにフジテレビが視聴率低迷や目まぐるしい改編と人事で勢いもアイデンティティ失われた10年…これらが一気にこみ上げてスポンサー名のロールが涙でにじんだ。その直後にダイアン津田篤宏の母・きみ子が歌った中島みゆきの『時代』とあわせ、今までの鬱屈した感情が浄化された気分だった。

 

バラエティ路線だけでなくフジテレビ復活の象徴だった27時間テレビの視聴率は前回(19年)を上回り、全てのパートで世帯・個人・コア層の視聴率が横並びトップを記録して成功を収めた。これを機に来年以降も夏休み突入シーズンの風物詩として27時間テレビが開催されることを願いたい。やっぱ楽しくなければテレビじゃないもん!