ノブユキ番外編

かつては1週間の個人的収穫を振り返るブログでした。現在は不定期で更新中。

残り物には福がある ~出川還暦祭り観戦記

2023年2月に放送された『オールナイトニッポン55時間スペシャル』の2日目にはウッチャンナンチャン(内村光良南原清隆)もラインナップされていた。盟友の出川哲朗と後輩のバカリズムも出演し、思い出話に花を咲かせるなかで持ち上がったのは、1年後に還暦を迎える出川を地元の横浜で祝う「出川哲朗還暦祭り」構想。この時点では会場の候補としてパシフィコ横浜山下公園崎陽軒本店の宴会場などが挙がっていた。

 

その後、6月に『内村光良オールナイトニッポンGOLD』で翌24年1月14日に還暦祭りを開催することを発表。そして8月には『出川哲朗オールナイトニッポン』でバカリから会場がキャパシティ12000人の横浜アリーナであることが発表された。さらに出演者も明かされ、出川はもちろんリスナーの身としても驚きの連続だった。

 

最速先行チケットは出川ANNの放送と同時に発売開始。深夜1時2時にもかかわらず飛ぶように売れ、自分も買うかどうか迷っていた。明くる日もチケット購入の是非で頭がいっぱいで、乗換案内アプリで居住地から会場のルートを何度も検索しているうちに予定枚数終了。まだ24時間も経っていなかった。

 

逃がした魚は大きい…と肩を落としていたら数日後、還暦祭りの公式Xで、入金が確認されなかったキャンセル分のチケットを当日夜に再販すると予告。自分は一縷の望みにかけ、開始時刻に急いでイープラスで申し込み、ついにチケットを手にすることができた。価格は8814円。「ヤバいよ」の語呂合わせである。年明け前にホテルと特急の座席の予約を済ませ、事前に買った公式グッズのタオルを首にかけてついに当日を迎えた。

 

東スタンド席から見たステージ

前説を三四郎(小宮浩信相田周二)が行い、出川・ウンナンと同じ劇団だった入江雅人のナレーションによる煽りVTRが流れ、総合司会の内村と大会委員長の南原が登場。テレビでも滅多に揃わないウンナンコンビに早くも胸熱。そして主役の出川は『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』のロケと地続きで充電バイクに乗って現れた。さらに進行役のバカリといとうあさこも登場。ここから出川の還暦を祝うべく集まった有名人たちのパフォーマンスが披露される。

 

 

テレビバラエティおよび関東お笑い界の集大成ともいうべき豪華なラインナップは出川哲朗の人徳がなせるわざ。多くの人々に愛されるその人柄を、出川が漫才やドラマをにこやかな表情で見守っているときに感じた。若手時代に「自称・ポストタモリ」のキャッチフレーズで『ボキャブラ天国』に出ていた芸人が還暦を迎え、『笑っていいとも!』のグランドフィナーレを彷彿とさせるステージを実現させたことに感慨深さを覚える。

 

思えば一度チケットを逃しても運良くキャンセル分を手に入れ、多幸感溢れるイベントを生で見ることができて最高だった。「残り物には福がある」とはこのことかもしれない。横アリを出る際に配られた永谷園のあさげを携え、会場に居合わせた相互フォロワーと会話しながら歩いた夜道もきっと忘れられないことだろう。

 

市内のホテルで一泊し、翌朝は出川の実家である海苔問屋の蔦金商店へ。出川の顔がプリントされた海苔のボトル、出川が出演する充電旅や『イッテQ!』の番組グッズが売られており、出川哲朗公式ショップのようだった。なお、店番をしていた出川の兄はとても滑舌が良かった。

 

テレビっ子が見た日本シリーズ2023

npb.jp

プロ野球で日本一の球団を決めるSMBC日本シリーズ2023は、阪神タイガースの38年ぶりか、はたまたオリックス・バファローズのV2か…実に59年ぶりとなる関西ダービーでした。野球好きだけでなく私のようなテレビっ子にとっても、民放5系列による持ち回りの中継体制でかつてなく盛り上がった熱戦を振り返ります。

 

第1戦 (10月28日)

阪神 8 - 0 オリックス ~京セラドーム大阪

中継:フジテレビ系列 実況:石田一洋 (関西テレビ)

open.spotify.com

昨年と一昨年にフジテレビと関係が深い東京ヤクルトスワローズとカンテレと関係が深いオリックスによる熱戦を数多く中継したフジ系が3年連続で開幕戦を担当。TUBEの春畑道哉が作曲した『JAGUAR'13』は同系列のプロ野球中継でお馴染みのテーマ曲で、原曲の『JAGUAR』が起用されて今年で25年。この曲で一気に野球の気分になれる。放送終了は20:54の予定だったが21:59まで65分延長。阪神の8点で2005年の33-4は早くも回避された。

 

第2戦 (10月29日)

阪神 0 - 8 オリックス ~京セラドーム大阪

中継:テレビ東京系列 実況:植草朋樹 (テレビ東京)

テレ東系では2年ぶりとなる日シリ中継は、世界卓球の実況や『孤独のグルメ』のナレーションで知られるベテランの植草アナが実況。系列局が6局しかないため地上波で見られない地域が多かったが、2年前と違ってTVerでの同時配信があるのは本当に大きい。21:50まで50分延長。前日に0-8で負けたオリックスが逆に8-0で阪神に勝利する劇的な結果となった。

 

第3戦 (10月31日)

阪神 4 - 5 オリックス 阪神甲子園球場

中継:TBS系列 実況:金山泉 (毎日放送)

番組冒頭で流れた煽りVTRは『M-1グランプリ』(ABC)や『千原ジュニアの座王』(カンテレ)で知られる畑中ふうがナレーターを務め、関西ダービーを存分に思わせる映像だった。TBS系では中継が水曜日でない限り枠は20時台までだが、この日は火曜日にもかかわらず『マツコの知らない世界』を休ませて21時台も中継できるよう枠を確保。この編成の心意気もあって延長・繰り下げなしで終了した。

 

第4戦 (11月1日)

阪神 4x - 3 オリックス ~阪神甲子園球場

中継:日本テレビ系列 実況:平松翔馬 (読売テレビ)

日テレ系では3年ぶりの日シリ中継。ytvが阪神寄りではあるが、日テレは巨人戦のイメージが強いのでかなりレア。両チーム同点で迎えた9回裏、阪神の攻撃でオリックスが2者連続の申告敬遠で満塁という大博打に出るも阪神がヒットを打ってサヨナラ勝ち。中継は22:14まで80分間延長。大の阪神ファンである有働由美子がキャスターを務める『news zero』は、まるで『金曜ロードショー』で『もののけ姫』が放映されたときの時間帯までずれ込んでいた。

 

第5戦 (11月2日)

阪神 6 - 2 オリックス ~阪神甲子園球場

中継:テレビ朝日系列 実況:高野純一 (ABCテレビ)

民放5系列コンプリートとなる5戦目は制作・実況・解説・提供クレジット、さらにABCのマスコットキャラクターのエビシーが登場するデータ放送ゲームとオールABCの放送体制だった。攻守交代の際にSMBC三井住友銀行とともに頻繁に流れたタケモトピアノの新CMがX(旧Twitter)で話題となり、試合終了までトレンド入りしていた。例年、テレ朝系の日シリ中継は延長の末に21時台の番組が休止となって『報道ステーション』で中継を続行するスタイルをとっているが、この日の延長時間は50分で留まり、直後のドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』はギリギリで休止を免れた。

 

第6戦 (11月4日)

阪神 1 - 5 オリックス ~京セラドーム大阪

中継:TBS系列 実況:伊藤隆佑 (TBS)

twitter.com

阪神の日本一まであと1勝の6戦目。2年前にヤクルトが日本一を決めた第6戦を中継したのもこの系列だったが、やはりどうしても23:20まで140分間もの大幅延長したことを思い出してしまう。しかし、この日は21時台の『日立 世界ふしぎ発見!』も休止の措置が取られ、第3戦と同じく22時まで枠が確保された。試合は21:35に終了し、逆王手を決めたオリックス中嶋聡監督と選手のインタビューをたっぷり流した後に聞こえてきたのはTBSアナウンサー安住紳一郎の声…! 21:50頃から『情報7daysニュースキャスター』が10分前倒しで放送される異例の突入も行われて思わず興奮してしまった。

 

第7戦 (11月5日)

阪神 7 - 1 オリックス ~京セラドーム大阪

中継:フジテレビ系列 実況:新実彰平 (関西テレビ)

6戦を終えて両チーム3勝3敗、総得点数23-23と互角の状態で迎えた第7戦の中継は2年連続でフジ系が担当。この日に放送予定だった『逃走中』の特別編が3時間だったため21:48まで中継枠が確保された(結果的に21:58まで10分延長)。運命の一戦の実況を託されたのは、この春までカンテレの夕方の顔だった新実アナ。昨年、自分が関西のホテルのテレビで新実アナを見たときは風邪声で番組を途中降板していたので、ようやく本調子の姿を見ることができて嬉しかった。

阪神大量リードのまま迎えた9回裏オリックスの攻撃でようやく1点が入るも試合終了。阪神が38年ぶり2度目の日本一に輝いた瞬間に出されたテロップは画面下半分を覆うほどの激しい金色の文字で思わず笑ってしまった。タイガースを"アレのアレ"に導いた岡田彰布監督のインタビューの途中で制作のクレジットが出て終了。直後の『Mr.サンデー』の事前枠で引き続き生中継されたが、地上波で今年最後のプロ野球中継はなんともヒヤッとする終わり方だった。

 

あとがき

この記事は野球ファンの視点ではなく、あくまでもテレビ好きが中継を見た感想を綴った記事であり、私自身そこまで野球に詳しくないという事実もご理解いただければ幸いです。日本シリーズをここまで楽しめているのはイレギュラーな編成だけでなく特にファンの球団が無いからなのかもしれません。ただ、個人的にはそろそろ埼玉西武ライオンズ日本シリーズで戦っている姿を見たいので、来年以降に期待したいと思います。

 

画像

 

 

 

笑っていいとも!観覧の記憶

2013年8月1日に当時19歳の私が子供の頃からの夢だった『笑っていいとも!』の観覧に行ってから10年が経ちました。この機会に、今はもう体験することのできないエピソードと当日の番組の流れを振り返りたいと思います。本当に行けて良かった…

 

応募から当選まで

森田一義アワー 笑っていいとも!』はフジテレビで1982年から2014年まで31年半にわたり生放送された平日お昼の名物バラエティ。JR新宿駅東口から程近いスタジオアルタでの番組観覧には往復ハガキを使って応募するシステムでした。応募資格は高校を卒業した18歳以上。小学生の頃から番組のファンだった私は、大きくなったらいいともを目の前で見ることを夢見ていました。

 

やがて応募できる年齢に達し、人生で初めて買った往復ハガキの往信面に必要事項、返信面の宛名に自分の住所と名前を書いて二つ折りにしてポストに投函。観覧希望日の1週間前に届いた返信のハガキには、スタンプで押されたハズレの通知…毎日たくさんの応募ハガキに目を通す番組スタッフさんの苦労がうかがえるインクの薄さでした。

 

ここから往復ハガキを買って応募してはハズレ通知の日々…どうすれば当たるのか考えました。そういえば観覧客は女性がほとんどで男性は数名程度…もしかすれば女性同伴で応募なら当たるんじゃないか?このことに気付き、母の了解を得て代表者扱いの母と同伴扱いの私の合計2人で応募することに。いつしか応募20回を数えたある日…ついに当選の通知が!自宅の郵便受けの前で思わず声が出ました。観覧日、番組ロゴ、注意事項が記された観覧券もスタンプによる文面で年季を感じさせます。

 

観覧当日、痛恨のミス

そして迎えた観覧の日。この日は木曜日でした。自分が高速バスのチケット(回数券)を2人分購入し、母の運転でバス乗り場へ。ところが道中でバスのチケットを家に置いてきてしまったことに気付きました…急いで引き返してチケットを財布に入れて再度出発。バスへの乗車が予定よりも遅くなってしまい、10時半アルタ前集合に間に合わない…念のためフジテレビの視聴者センターに問い合わせたところ、10時半を過ぎても客入れの前なら受付は行っているとのこと。

 

地下鉄浅草駅近くのバス停で降りて都営浅草線で浅草橋→総武線に乗り換えて新宿に。巨大迷路ともいうべき新宿駅をくぐり抜けて11時頃にようやくアルタに到着しました。アルタ前で待ち構えていた番組スタッフの案内で観覧券のハガキを入場整理券に交換。スタジオにつながる階段には多くの観覧客の姿がありました。とにかく間に合ってよかった…

 

スタジオ入り、前説

11時45分頃に客入れスタート。スタジオの中はテレビで見るより小さく、ステージに手が届きそうなぐらいの近さでした。私と母が座ったのは、ステージから見て雛壇の最前列の右端あたり。放送中の映像が流れるモニターの近くでした。

 

11時50分頃からスタッフさんによる前説。前のいいともAD隊・クルット&ハリーで黄色いポロシャツを着ていたクルットさんの手ほどきで拍手の練習、『テレフォンショッキング』のアンケート企画で使うスイッチのテストが行われました。女性客限定のスイッチは100個ありますが、観覧客は総勢150名なので全員が参加できるわけではなく、母の手元にはスイッチがありませんでした。なお、ゲストがアンケートに成功すれば観覧客にも記念の番組グッズが配られるそうです。

 

いよいよ本番…セットの脇の扉からいいとも青年隊noon boyzの真田佑馬さんと野澤祐樹さん、当時青年隊と一緒に踊っていた木曜テレフォンアナウンサーの倉田大誠さんが登場。スタンバイからわずか十数秒で「お昼休みはウキウキWATCHING…」が流れて正午の生放送スタートです。

 

当日のいいともの流れ

web.archive.org

オープニング~コーナー②

この頃はオープニング後すぐのコーナー①のセットが既に組み込まれた状態から番組をスタートさせており、学校の教室のような扉からタモリ(森田一義)さんが登場!さらに脇から当時の木曜レギュラー・笑福亭鶴瓶さん、アンタッチャブル山崎弘也さん、ベッキーさん、ピースの綾部祐二さんと又吉直樹さんも登場。そして「チャ、チャチャチャ」の手拍子。憧れの芸能人が目の前にいるだけでもう感無量です。

 

小学生たちが神業を披露するコーナーか終わってウキウキWATCHINGが流れ、タモリさんの「それじゃあ今日もそろそろ…行ってもいいかな?」→レギュラーと客で「いいともー!」というお馴染みのくだり。CMに入ると「盛り上がってるかい?」→「イェーイ!」→「今日も元気かい?」→「イェーイ!」のコール&レスポンスも始まりました。そしてタモリさんが「昨日×××した人!」とコールして反応した客に向かってレギュラー陣と「それはそれは、おめでとさん!」…こんなくだりもあったんだ!これは大きな収穫!

 

CMが明けてコーナー②が始まりましたが、当時この1か月前からタモリさんが一部のコーナーに出演しなくなったため不在でした。このコーナーでは鶴瓶さんが推薦したイケメン落語家たちが登場し、真打に昇進する前の瀧川鯉斗さんの姿もありました。

 

テレフォンショッキング

次は看板コーナー『テレフォンショッキング』。CM中に椅子とテーブル、出演祝いの花、巨大カレンダーボードが設置され、タモリさんがセット中央の階段から登場。「はっきり言ってこれは地毛です」と自虐して客を笑わせていました。

 

CM明けにあのピコピコ音楽が流れ、タモリさんが倉田大誠(たいせい)アナを「倉田おおまこと君」と紹介した後、この日のゲスト・トリンドル玲奈さんが登場。まるでお人形さんのように美しいと母が見惚れてました。トリンドルさんのお母様がタモリさんと同じ福岡出身ということもあって地元トークでCM中も盛り上がっていました。

 

そしてアンケートのコーナーへ。当時は100人中1人を出すルールからゲストが該当人数を予想してタモリストラップを狙うルールに。トリンドルさんは「名字が山田の人」で7人の予想でしたが結果は1人…以前のルールであれば大成功でした。最後に翌日のゲストの椎名桔平さんに電話して終了。カレンダーボードで使う顔写真の撮影はCM中に行われていました。

 

コーナー③~エンディング、そして後説

木曜レギュラー陣が元気よくスタジオに入っていく提供ゾーンを経て日替わりコーナー3本目。ここでもタモリさんは不在でした。レギュラーの5人が分担して3分以内にババロアを作り上げてCM。このときにしれっと現れて鶴瓶さんと会話するタモリさんに思わずにやけてしまいました。

 

曜日対抗いいともCUP、翌日のコーナーの出場者募集を経て「それじゃあ明日も見てくれるかな?」→「いいともー!」のコール&レスポンスで生放送終了。そこから出演者がスタジオに残って後説(アフタートーク)に。日曜午前の『笑っていいとも!増刊号』における"放送終了後のお楽しみ"がシームレスに始まっていて驚きました。

 

後説では倉田アナが結婚式の司会で「フジテレビアナウンサーの倉田大誠と申します」を「倉田大誠だと思います」と噛んでしまったエピソードを披露しスタジオ爆笑。さらに鶴瓶さんが『タモリオールナイトニッポン』のコーナー『NHKつぎはぎニュース』の面白さについて語り出し、ニッポン放送NHKに平謝りしたエピソードをタモリさんが話すという展開は胸熱でした。

 

キリの良いところでタモリさんが「ありがとうございましたー」と挨拶し、出演者のみなさんがスタジオから捌けて後説も終了。夢のような1時間半は本当にあっという間でした。東京駅一番街のレストランで母といいとも観覧の感想を語り、家に帰って録画したいいともを見て私と母の姿を確認して笑い合ったのもいい思い出です。

 

あとがき

観覧がきっかけでいいとものことがより好きになったものの、約2か月後に番組が終了を発表。最終回も観覧したくて応募しましたが案の定ハズレでした。ただ、このときの返信はいつもの薄いスタンプではなくプリント。視聴者への感謝が込められたメッセージも入っていてハズレでも嬉しかったです。

 

2023年1月より、フジテレビの平日昼では要所要所にいいとものエッセンスを感じるバラエティ番組『ぽかぽか』が放送中。お台場のフジテレビ本社7階・ぽかぽかパークからの生放送で、応募はフジテレビクラブの会員限定ですがこの番組もいつか観覧してみたいです。

 

なお、私のわがままに付き合ってくれた母は数年前から車いす生活に。"母と息子2人の東京旅行"としても忘れることができない観覧になりました。いつになるかは分かりませんが、今度は母が希望するところに連れて行きたいです。また一緒に行ってくれるかな?

 

 

夜の台場にかかる虹

フジテレビをはじめとしたFNS(フジネットワーク)で開催される年に1度の長い祭り『FNS27時間テレビ』。またの名を『FNSの日』と言う。1987年に第1回が放送され、タモリ明石家さんまビートたけし逸見政孝中居正広ナインティナインなどのスターたちが総合司会を務めてきた。日本テレビのチャリティ特番『24時間テレビ』が感動路線なのに対し、こちらはフジテレビ特有のバラエティ路線で夏休み突入シーズンを盛り上げてきた。

 

しかし、2013年以降は岐路に立たされる。同年で過去最低視聴率を記録し、翌14年のSMAP27時間では息を吹き返すも、その翌年の15年は低調。16年で再び過去最低を更新した。さらに17年と18年はバラエティ路線から日本の歴史をテーマにした教養路線に舵を切り、27時間ほぼ事前収録の形式が取られた。この大幅な路線変更で自分はえらく失望し、17年は合計2時間程度、18年は合計5秒しか見なくなってしまった。

 

そんな中、日本のスポーツをテーマとした19年は教養路線を残しつつ、バラエティ路線と生放送形式を一部で復活させた。自分は喜んで13時間も視聴し来年以降の27時間に期待を寄せた。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大により20年から3年連続の開催中止を余儀なくされてしまった。その間、フジテレビは21年・22年に『FNSラフ&ミュージック』を土日の夜に放送。TBSでは20年から毎年秋に『お笑いの日』、日テレでは21年の『24時間テレビ』の深夜枠で『有吉の壁』が放送され、27時間テレビが無い代わりにこれらの番組で楽しんできた。ただ、それでもやっぱり見たいのはバラエティ一色の27時間…どうしても諦めきれない思いが募る3年間だった。

 

そして23年夏、待望の27時間テレビが復活した。千鳥、かまいたち、ダイアンが総合司会を務め、『千鳥の鬼レンチャン』をベースにサビだけカラオケや400m走サバイバル、『逃走中』や『FNS歌謡祭』の公式パロディ、さらには『今夜はナゾトレ』、『有吉ダマせたら10万円』、『ドッキリGP』なども参加して久々にバラエティ路線かつ生放送形式の夏祭りが戻ってきた。鬼レンチャンのカラオケでブレイクしたほいけんたが「カラダぐぅ」に続く新たな歌い方「くるっくぅ」で爆笑をかっさらってTwitterのトレンドを席巻したのも夢のような光景である。

 

久々にリアルタイムで合計20時間以上見たFNSの日もいよいよ佳境に。グランドフィナーレ恒例の提供読みはフジテレビの新人アナウンサーだけでなく開催休止期間に入社したアナウンサーも参加させる粋な計らい。定番の提供BGM『虹  Arc en Ciel』がかかった瞬間、心の琴線に触れた。今年の27時間が終わってしまう寂しさ、コロナ禍による3年間、入社した年に27時間が無かったアナウンサー、『虹』を作曲した服部克久の逝去、さらにフジテレビが視聴率低迷や目まぐるしい改編と人事で勢いもアイデンティティ失われた10年…これらが一気にこみ上げてスポンサー名のロールが涙でにじんだ。その直後にダイアン津田篤宏の母・きみ子が歌った中島みゆきの『時代』とあわせ、今までの鬱屈した感情が浄化された気分だった。

 

バラエティ路線だけでなくフジテレビ復活の象徴だった27時間テレビの視聴率は前回(19年)を上回り、全てのパートで世帯・個人・コア層の視聴率が横並びトップを記録して成功を収めた。これを機に来年以降も夏休み突入シーズンの風物詩として27時間テレビが開催されることを願いたい。やっぱ楽しくなければテレビじゃないもん!

 

 

 

まるで3年前

コロナ禍の始まりから3年が経った。規制が緩和されて人や社会の流れが戻ってきた。自分は今も外出時マスク着用だが、テレビで出演者同士の間隔が狭くなったり、しばらくできなかったロケ企画の再開で規制緩和を実感する。

 

そんな夏の日の夕方、タレントの自死が伝えられた。かつてバラエティ番組にて明るいキャラクターで振る舞っていただけに悲しい。それが原因とは断定されてないが、生前にTwitterで受けた誹謗中傷への批判が強まり、誹謗中傷の連鎖反応も起きてしまった。

 

誹謗中傷は良くないの風潮が高まるのはいいこと。ただ、自分は違和感を覚えた。3日前にミュージシャンがラジオでの発言で叩かれたのをもう忘れたのかと。放送前から渦中の人物だったが故の火に油を注ぐような発言かもしれないが、やってることは変わらない。その時から誹謗中傷への批判を強めるべきだったのでは。

 

この光景、3年前と重なる。リアリティショーでヒールを演じていたタレントが視聴者からの誹謗中傷が原因で自死したことがあった。この時も中傷は良くないの風潮が高まったが、約1か月前に深夜ラジオで失言したお笑い芸人が叩かれていたときに言ってほしかったと。リスナーの自分が聞いても失言だったが、この芸人は過去に精神的な病で休養している。そんな人間へのバッシングは異常だ。

 

喉元過ぎれば熱さを忘れてしまうのが世間。ほとぼりが冷めて再び議論が巻き起こってしまう前に、これからもSNSで誹謗中傷に加担しないようにしたい。そういえば、夏の音楽特番の裏で俳優の自死が伝えられたのも3年前だった。

 

この流れを止めてよ

山下達郎が渦中の人物になったことがあっただろうか。

 

2023年7月1日、音楽プロデューサーの松尾潔が業務提携で在籍していたスマイルカンパニーを契約の途中で解除されたとTwitterで報告した。日刊ゲンダイの連載やラジオ番組で、ジャニー喜多川の性加害問題に絡めてジャニーズ事務所と社長の藤島ジュリー景子を批判したことが理由らしい。

 

そのツイートには「私をスマイルに誘ってくださった山下達郎さんも会社方針に賛成とのこと、残念です」と。この一文がきっかけで達郎は炎上した。

 

ただ、6日に更新された松尾の連載では、達郎や妻の竹内まりやに直接聞いたわけでなく、弁護士を通じて賛成を確認したという。その前日にはスマイルがプレスリリースを出し、契約解除はあくまでも社長の小杉周水(Shusui)松尾の社内外での言動等を鑑みて判断したと主張していた。

 

そして9日、TOKYO FM山下達郎のサンデー・ソングブック」の中盤で達郎本人によるメッセージが放送された。松尾とはしばらく会ってない、小杉に契約解除を促してないと明言。さらには数々の所属アイドルに楽曲を提供してきたジャニーズに忖度はしていない、ジャニーの性加害は許されないが彼とのご縁や御恩は忘れないことと社会的な性加害とは別の問題と語った。

 

松尾のツイートの時点で達郎に対して「失望した」「ファンやめる」「もう聴かない」の声に溢れていたが、達郎が発言してからもTwitterでは非難轟々。自分も松尾の契約解除とジャニーの性加害には許し難いのスタンスである。

 

しかし、自分も知りたいところだった"達郎がスマイルの方針に賛成したプロセス"が松尾からも達郎からも小杉からも明かされてない時点で「山下達郎ジャニー喜多川の性加害を擁護している」と拡大解釈した意見には怒りを覚えた。元はと言えば社内の問題を有耶無耶にしてメディアに圧力を加えてきたジャニーズのせいだ。おまけにキャンセル・カルチャーも達郎にも降りかかってるじゃないか。達郎を責めただけですべての問題が解決するわけない。正直、松尾のツイートによる巻き込み事故としか思えない。

 

一部の相互フォロワーが達郎のアンチであったことが明るみに出たりと、達郎ファンとして肩身の狭い日々だった。きっとまだまだ続くだろう。ねえお願い、この流れを止めてよ。

週刊ブログ休刊のお知らせ

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。

 

この度、毎週土曜日の正午に更新してきた週刊ブログ「今週の収穫」を休刊することになりました。2021年8月に「Twitter以外の場でも発信したい」という思いでブログを開設し、テレビエンタメを中心としたあらゆるモノやコトの個人的収穫を毎週お届けしてきましたが、最近は編集のモチベーションが低下し、記事の編集中に寝落ちすることが増えて生活の質に影響を及ぼしていたので休刊を決意しました。予告もなく突然の発表となってしまったことをお詫びいたします。

 

あと15回で100号というなかでの休刊は私にとっても無念ではありますが、これまで毎週ご覧いただいた読者のみなさんには感謝しております。ブログ自体は閉鎖せず、旅行や番組などで大きな出来事があった際に記事を書く予定ですので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

では、今日はこんなところです。