2023年2月に放送された『オールナイトニッポン55時間スペシャル』の2日目にはウッチャンナンチャン(内村光良・南原清隆)もラインナップされていた。盟友の出川哲朗と後輩のバカリズムも出演し、思い出話に花を咲かせるなかで持ち上がったのは、1年後に還暦を迎える出川を地元の横浜で祝う「出川哲朗還暦祭り」構想。この時点では会場の候補としてパシフィコ横浜、山下公園、崎陽軒本店の宴会場などが挙がっていた。
その後、6月に『内村光良のオールナイトニッポンGOLD』で翌24年1月14日に還暦祭りを開催することを発表。そして8月には『出川哲朗のオールナイトニッポン』でバカリから会場がキャパシティ12000人の横浜アリーナであることが発表された。さらに出演者も明かされ、出川はもちろんリスナーの身としても驚きの連続だった。
最速先行チケットは出川ANNの放送と同時に発売開始。深夜1時2時にもかかわらず飛ぶように売れ、自分も買うかどうか迷っていた。明くる日もチケット購入の是非で頭がいっぱいで、乗換案内アプリで居住地から会場のルートを何度も検索しているうちに予定枚数終了。まだ24時間も経っていなかった。
逃がした魚は大きい…と肩を落としていたら数日後、還暦祭りの公式Xで、入金が確認されなかったキャンセル分のチケットを当日夜に再販すると予告。自分は一縷の望みにかけ、開始時刻に急いでイープラスで申し込み、ついにチケットを手にすることができた。価格は8814円。「ヤバいよ」の語呂合わせである。年明け前にホテルと特急の座席の予約を済ませ、事前に買った公式グッズのタオルを首にかけてついに当日を迎えた。
前説を三四郎(小宮浩信・相田周二)が行い、出川・ウンナンと同じ劇団だった入江雅人のナレーションによる煽りVTRが流れ、総合司会の内村と大会委員長の南原が登場。テレビでも滅多に揃わないウンナンコンビに早くも胸熱。そして主役の出川は『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』のロケと地続きで充電バイクに乗って現れた。さらに進行役のバカリといとうあさこも登場。ここから出川の還暦を祝うべく集まった有名人たちのパフォーマンスが披露される。
- 堀内健(ネプチューン)による開会宣言
- 狩野英孝による50TA『PERFECT LOVE』
- ナイツの漫才
- さまぁ~ず(三村マサカズ・大竹一樹)久々の漫才(悲しいダジャレ)
- 出川、さまぁ~ず、堀内、バカリ、飯尾和樹(ずん)、中岡創一(ロッチ)による大喜利大会(判定内村、進行あさこ)
- 内村が出川を演じ、内村が断片的な記憶と勝手な解釈で振り返る幕間ドラマ『出川哲朗物語』(全4回・マセキ所属芸人多数出演)
- 南原とダンス☆マンによる『ナンバラバンバンバンll』→南原、三四郎、あさこによるはっぱ隊『YATTA!』
- 松村邦洋のモノマネ(岡田彰布とビートたけし)と東京ヤクルトスワローズの村上宗隆によるビデオメッセージ
- ダチョウ倶楽部(肥後克広・寺門ジモン)、土田晃之、有吉弘行と出川によるおでん芸と熱湯風呂からの『白い雲のように』(猿岩石)
- キャイ~ン(天野ひろゆき・ウド鈴木)と江頭2:50によるビデオメッセージ
- ビデオメッセージに見せかけた生中継でサプライズ出演した田村淳(ロンドンブーツ1号2号)による出川の楽屋荒らしドッキリ
- ナインティナイン(岡村隆史・矢部浩之)と出川による『みんなのうた』(サザンオールスターズ)
- ウッチャンナンチャン久々のコントと出川のリクエストによる『YAH YAH YAH』(CHAGE and ASKA)の宴会芸
- 出演者ほぼ全員(有吉・矢部は次の仕事場へ)をステージに集め、憧れの矢沢永吉に扮した出川と生バンドによる『トラベリン・バス』→演奏終了と同時に落とし穴で粉まみれ
- 矢沢永吉からサプライズで音声メッセージ
- 矢沢出川による2曲目『止まらないHa~Ha』
- エンディングで出演者全員がコメント、出川が「おじいちゃんになっても笑ってほしい」と単独スピーチ、そしてリハーサル映像やドラマのNGシーンとともにエンドロール
テレビバラエティおよび関東お笑い界の集大成ともいうべき豪華なラインナップは出川哲朗の人徳がなせるわざ。多くの人々に愛されるその人柄を、出川が漫才やドラマをにこやかな表情で見守っているときに感じた。若手時代に「自称・ポストタモリ」のキャッチフレーズで『ボキャブラ天国』に出ていた芸人が還暦を迎え、『笑っていいとも!』のグランドフィナーレを彷彿とさせるステージを実現させたことに感慨深さを覚える。
思えば一度チケットを逃しても運良くキャンセル分を手に入れ、多幸感溢れるイベントを生で見ることができて最高だった。「残り物には福がある」とはこのことかもしれない。横アリを出る際に配られた永谷園のあさげを携え、会場に居合わせた相互フォロワーと会話しながら歩いた夜道もきっと忘れられないことだろう。
市内のホテルで一泊し、翌朝は出川の実家である海苔問屋の蔦金商店へ。出川の顔がプリントされた海苔のボトル、出川が出演する充電旅や『イッテQ!』の番組グッズが売られており、出川哲朗公式ショップのようだった。なお、店番をしていた出川の兄はとても滑舌が良かった。